新時代の大学入試に備える③~どう育む?主体性・多様性・協働性~

こんにちは。ソフィー学習塾の北岡です。前々回前回と、新時代の入試に備えて「主体性」「協働性」「多様性」について書いています。
今回は、その「主体性」「多様性」「協働性」をどう育んでいくのか、というヒントです。

主体性が高まると、多様性と協働性が高まる

まず、3つの能力のうち、優先順位をつけるならば、主体性を高めることが第一です。

自ら考え動くことができる主体性があれば、一般に言うPDCAサイクル、つまり、計画を立て、実行し、評価・修正し、再度チャレンジをする、そういう自己成長のサイクルに入っていけるからです。

そして、主体性からなる自己成長サイクルがあれば、「自分が主体であることの大事さ」がわかるので「他者を尊重できる多様性」も育ちますし、人とうまくやっていくためのシミュレーションや試行錯誤が習慣となり、「協働性」にもつながります。

しかし、もし、主体性を高める前に、多様性・協働性を高めようとすると、それらは、「同調すること」と履き違える可能性もあります。

あくまで、自らの自己決定が出来る状態になったあとだからこそ、多様性・協働性が健全な形で働くとも考えられます。

(主体性・多様性・協働性については第1回の記事過去記事も。)

主体性を育むには、「目標設定」と「振り返り」

では、主体性を育むにはどうすればいいのでしょうか。

手前味噌ですが、私たちは、主体性を育むスキルに絶対的な自信を持っています。

その、私たちソフィーが最も大事にしているのは、自らの意思で目標を決めることと、その振り返りをすることです。

ソフィーは、22年以上の歴史のなかで、提供するコンテンツや教室の空気づくりは時代の流れや生徒たちの個性や趣味嗜好により変えてきましたが、この「目標設定」と「振り返り」に関しては、一貫して取り組んでいる重要な要素です。

毎回のコマで「目標設定」と「振り返り」を習慣化することにより「人に与えられる勉強時間」という意識ではなく、「自ら選んだ勉強時間」という意識になります

また、振り返りをすることで、「自らの理想と現実の誤差」を認識できるようになります。これにより、自分が思い描いた通りに学習を進める能力が、どれくらいの精度で身についているのか、がわかってきます。

そう思うと、どうでしょうか、実は、目標設定と振り返りをする習慣というのは勉強だけでなく「自分で自分の人生を選び、どれくらい理想に近づけていけるか」という習慣にもなるんです。

こういった、大きな時の流れの中、長期での時間軸での意識を持って、今この時を過ごすこと自体が、もう主体性を育んでいることにもなります。

ソフィーにおける「目標設定」と「振り返り」

ここで、ソフィーにおける目標設定と振り返り、について少し書いてみます。

ソフィーでの目標設定とは「その日にやることは、なぜやるのか」そして「どう達成するのか」という、目的意識設定とプロセス設定の練習でもあります。目標設定は、テストが近ければテストの目標点等であってもいいのですが、大事なのは、「なぜテストでその点数が欲しいのか」そして「どうすればその点数に行くと思っているのか」を明確にしていくことです。

次に、振り返り、ですが、これは、「日常生活についての振り返り」も含みます。その日にソフィーでやった勉強内容を振り返るという仕組みは、もちろんあります。それも大事なのですが、同じくらい生徒が日々の生活の中で、どういった経験をして、それから何を学んでいるのか、ということを振り返ることも大事なんです。机でやる勉強以外の振り返りから、机に向かっている時以外の時間を学びに変える能力を育んでいけます。

余談ですが、勉強で短時間で成果を出す子どもの特徴のひとつは、学校で習わないような雑学知識や経験値が多い子です。教科書や学校以外の時間で知識を習得することが当たり前になっている子は、学校の授業を聞いたときにすでに持っている自分の知識と結び付けて授業を理解します。数学や理科の「図形的な動きのイメージ」をスポーツから得る場合だってあります。そのため、「お勉強」以外の学びを大事にしていくことが、ペーパーテストの成績を上げる近道でもあるのです。

効果的な「目標設定」と「振り返り」を促すスキルは?

親・親族・身近なプライベートな関係の大人ができること

さて、「目標設定」と「振り返り」について、親や周りの大人は何ができるか、です。
一番は「日常で思っていることや気づいたことを『ただ』聞いてあげる」「なにか夢中になっているときに『ただ』見ていてあげる」「一歩勇気が出ないときに、背中を押してあげる」だけです。「ただ」というのは、聞いたり見たりしたときに、「善し悪しを判断しない」ということです。

この、日常で思ったことや気づいたことをしっかり聞いたり見ていてあげることで、自分の想いを人に話すことに慣れてきたり、ちゃんと聞いてくれているからこそ「自分の日々そのものが大事な時間なんだ」という意識が芽生えます。ただ、これは無自覚の習慣から生まれる成果の範疇ですので、習慣にしてから、少なくとも半年~1年後くらいに意識してみると気づくような変化です。

ですから、家庭では、毎日の食卓やリビングでの関係性がとても大事なんです。

一方、プライベート以外の大人は意識して接しないとマイナスの依存関係になる

ちなみに、親族以外の大人、たとえば、学校の先生や塾でも同様の「『ただ』聞くだけ」「『ただ』見守るだけ」でも上手くいくのか、というと、実はそうではありません。

家庭に毎日帰りたくない、というくらい、よっぽど家庭が上手くいっていない子の場合は、心の拠り所として、親族のように、周囲の大人と関係を結ぶのは必要でしょう。

しかし、塾や学校の先生など、プライベート以外の大人との関係は、極力依存のない・独立した信頼関係であるほうが、主体性・多様性・協働性につながります。
フレンドリーさ・親近感がありつつ、一定の距離感があるほうが、主体的な学びにとっては好影響があります。

何か知識を教えてくれる場所・つらいときに助けてくれる場所、は、運営側(塾で言えば塾側)が相当意識しなければ、「自らが動く主体性」ではなく「他者を思い通りにコントロールすることを望む『わがまま』」が身についてしまいます。

わがままが通る結果、楽しさが、自分の思い通りになる場所>>>>>それ以外の日常、となる子もいるでしょう。

しかし、私たちはそれを「よし」とはしません。

そうあっては「塾や中・高校時代は、なんでも思い通りになって、塾の人はみんな気をつかってくれてとても優しいし、すごく楽しかったけど、大学や社会に入ったらなんか、厳しいし、楽しくない」という日常を送る可能性が高まるからです。

私たちは、「塾も楽しかったけど、卒業後はもっと世界が広がって楽しい」ということを目指し、日々改善しています。

家庭以外で他者と出会った際に、「家庭の常識が通じない」・「家族と違ってわがままが通らない」・「親とは異なる愛情からなる厳しさ」をいかに経験できるかも主体性・多様性・協働性を育むには大事になってきます。

多様性・協働性は、思い通りにならない他者とうまくやっていくための能力であり、主体性は、うまくやっていくために自分を成長させ変化させる能力でもあります。

自信満々のソフィーのスキルとは?

では、私たちソフィーで誇れるスキルとはなんなのか、を伝えらればいいのですが、

非言語のスキルも多く(前述したような親近感と距離感を兼ね備えるスキルなど)、実際の生のやりとりをするスタッフとの関係でも研修でスキルを伝達するのは相当時間が必要なほど、かなり言語化するのが難しいので、ここでは割愛させていただきます。

ただ、気になる方も、次の3点を毎日意識すれば、独自に主体性を育むスキルを強化できると思います。

  • 誰も確実に「正しい」と言える知識は持っていない
  • 学び続けること、そのものに価値がある
  • 自分自身の選択が最も尊重されるべき

補足:リクルート・スタディサプリの調査について

今回書いた、「主体性を育むと、多様性・協働性が養われ、そして、主体性を育むには『目標設定』と『振り返り』が大事」という考察は、実際に、2020年2月にリクルートのプレスリリースにより、発表もされています。その調査は、リクルートが提供している「スタディサプリ」を導入している高校で行った、全国15万人の高校生を対象としている調査です。気になる方は、そちらもご覧ください。