これからの時代に必要な進路選択マインド③(終)

価値観をつくる<じぶんごと>の体感機会を奪わないことが成長の要

前々回前回からの続きです。ぜひ最初からお読みいただけたらと思います。

今回は、前回までの「じぶんごと」の人生にどうやってしていくのか、という話です。

子どもが心配なあまり、学校の用意をしてあげる、宿題やスケジュールの管理をしてあげる、受験調べを代わりにやってあげる、テストの分析をしてあげるなどの行為をしたくなる親御さんや学校の先生が多くいます。しかし、やればやるほど、子どもにとっては「ひとごと」になるから、やる気がでません。自分の人生を生きている実感がないから、依存が強くなります。そういった子は、テストで明らかに悪い点数をとっても、危機感も悔しさも、非常に薄いものになります。だって「ひとごと」なんですから。

同様に、親がやってあげればやってあげるほど、親にとっては「じぶんごと」になってしまうから、子ども以上に親の方が受験や進路に対して不安になります。高校の合格発表のときに、(おそらく不合格で)泣き崩れる親とそれを慰める子ども、という光景が毎年のように見られますが、その状況に違和感を覚えるセンスを持っていなくてはなりません。

「やってあげたいこと」はたいてい、自分でできることです。

「やってあげられること」は、多くの場合、「ありがたいこと」です。

「なぜ、ありがたいか」というと、「自分でできることをわざわざやってもらえるから」です。

ですが、その「自分でできること」を実際にやってみる、という経験を通して、自分が「どう感じ、どう思ったか」がという体感がなければ価値観は育まれません。

自分の選択を正解にしていく能力を育むには、自分の人生は「じぶんのもの」という体感を増やす経験が重要です。正解づくりが上手になっていくには、体感が必ず必要です。

仕事選びに悩むから進路が選べない、という声について

中学生も高校生も大学生も、学生生活が終盤になると、仕事選びを考えることが増えるようです。その仕事選びこそ、価値観に合うことを選び、自分の選択を正解にしていって欲しいと思います。
仕事に就いてから何回も転職する人生もいいでしょう。起業したり一旦やめた会社に出戻りをする人生もいいでしょう。ひとつの仕事をやり続けることを正解にしてもいいですし、次々仕事を変えることを正解にしてもいいんです。
ですが、次々仕事を変えるとしても、それは自分の価値観に沿った選び方をしてほしいと思います。仕事は、誰かを喜ばせることです。自分の価値観に合わない選び方をすると、仕事をすればするほど、「自分はやりたくないことをやっているのだから、もっと褒めて欲しい。認めて欲しい。」という欲求で仕事をするようになります。これではいい仕事はできません。

自分の価値観に合う仕事を選び、やりたいことを仕事にすれば、<本当の意味>でお客さんにとっての幸せ、を考える余裕が出てきて、結果的にいい仕事ができます。

だから、自分の価値観、「良いと思うこと」を追求し、更新し続けて、自分で選択をしいってほしいと思います。

補足:先回り教育の終焉:共通テストとセンター試験とレジリエンス

以下「*」以下の文章は、2020年の最後のセンター試験(現・共通テスト)のときに、内部生向けレターで書いた文章です。来年から共通テストもまた一新されるので関連して再度掲載しておきます。
下記の考え方は、やはり今も変わらないからです。

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不確実な世界で生きる能力を育むための練習を積ませることは、一部の大人たちは急務だと思っていて、その一貫が教育改革です。共通テストにはじまる大学入試改革や私立中学受験、一部の私立大受験の内容変化が顕著です。

共通テストの内容には、施行前から試験後も賛否が出続けていますが、共通テストに変わったことには大きな意味があったと考えています。

それは、受験生を指導する大人たちが「自信をもって先回り教育できない」という状況を経験できたことです。転ばぬ先の杖、ができない状況を経験できることは大きな経験でしょう。

2020年1月、最後のセンター試験のとき、現代文のテーマがすでにメッセージとなっていました。テーマは「レジリエンス」でした。「レジリエンス」とは、簡単に言うと、回復力のことです。どんな回復力かというと、次の2つの意味を含みます。1つ目の意味は、どんなに予防をしてもマイナスなことが起こるとして、マイナスになったとき、プラスに戻していく時間をいかに早めるかという回復力のこと。2つ目の意味は、マイナスからプラスに戻る際に、いかに元の状態よりプラス幅を大きくして戻ることができるか、という回復力のことです。たとえるなら、筋肉を傷つけて筋肉を大きくしていく筋トレの回復に似ています。なにかショックなことが起きた後に、考え方が変わり、前よりも心が強くなることとも似ています。最後のセンター試験では、今後の不確実な時代での変化力・対応力・回復力のキーワードである「レジリエンス」という言葉を知らしめることが高校生へのプレゼントだったのだと思いますし、共通テストに対応できる能力自体がレジリエンスです。

もちろん、今後、共通テストの回数を重ねるにつれ、塾や予備校などは、パターン化して傾向や対策を練り始めるでしょう。

しかし、ここではっきり言っておきます。今後、そのような予想の対策はもはや意味をなしません。共通テストは傾向が一貫してきたとしても、実力差がはっきり出る試験であり続けると思います。

それは、共通テストが「一見して解くのが面倒くさい」「考えるどころか問題を読むのが大変」「だけどしっかり読まないと解くことができない」「基礎知識は暗記していて当たり前」という問題ばかりだからです。

つまり、「傾向と対策の分析や勉強内容の指定を誰かにしてもらわなければ何もできないような指示待ち姿勢の無気力学生」をふるい落とすことができる試験になっています。

「カリキュラム通りにやれば解けるよ」「これをしっかりやれば出題されるよ」「これより難しいことは出題されないよ」といった言葉を鵜呑みにする学生が、そんな面倒な試験を最後まで解ききり、8割以上の点数をとれるはずがありません。

大事なのは、「一見面倒であろうが、しっかり目の前の問題に向き合い解ききる能力」、「テストに出るかどうかや、やらなければいけないかどうかでなく、知的好奇心を持って日々を過ごす能力」です。

勉強の能力だけでなく「考えながら日々を過ごす」能力です。

では、どうすれば、「考えられるようになるのか」ですが、「体感」の経験を積めばいいんです。

どうやって、思考力につながる体感の経験を積めるか、ですが、ソフィーに通っている人は、ソフィーに通っているだけで、その体感の経験を積めるように、実は色々な工夫がほどこしてあります。

まずは、毎日の目標設定と振り返りからしっかり取り組んでいきましょう。

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