子供のやる気を促すコミュ二ケーション法2:選択の自由メソッド

前回の投稿では「子供のやる気を促すコミュニケーション法」のうち、ソフィー学習塾でスタッフが意識的に使っているもののひとつ「サジェスチョンメソッド」を紹介しました。今回はもうひとつ非常に効果的で簡単にできる「選択の自由メソッド」という手法を紹介します。
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選択の自由メソッドとは?

これも前回の「サジェスチョンメソッド」とともに「勉強しなさい」という代わりに家庭で使ってみて欲しいコミュニケーション手法です。これは簡単に言うと「○○しなさい」という代わりに「Aにする?それともBにする?」と選択肢を示して、相手に決めてもらう、というやり方。これによって「相手の指示・命令に従った」と言う状況ではなく、「自分で決めた」という状況になり、相手の「顔が立つ」ことになります。
「親子関係で『顔が立つ』なんて考える必要はないんじゃない?」と思う人もいるかもしれません。しかし思春期の子供にとっては家族の中でさえ「顔が立つ」ことはとても重要な問題です。 さらにこの方法を使うことにより子供の「自立心」も育てていくことができます。

【例1】よくある失敗パターン

まずはよくあるうまく行かないパターンの例を見てみましょう。

母 :「 タカシ!いつまでテレビゲームやってるの?宿題があったんじゃないの? はやく勉強しなさい!」
タカシ:・・・(無言でテレビゲームに夢中)
母 :「 タカシ!お母さんの話聞いてるの?宿題先にやっちゃいなさい!(イライラ)」
タカシ:「もうちょっとしてから・・・(テレビゲームを続けながら)」

母 :「あなたもうちょっともうちょっとって言って、いつもすぐにやらないじゃない!」
タカシ:「うるせえんだよ!今やろうと思ってんだよ!」(ムカつく。おかげでやる気なくなったし)

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この例は「サジェスチョン・メソッド」のお話のときにも紹介しましたね。

【例2】「選択の自由メソッド」を使ってうまく行ったパターン

では「選択の自由メソッド」を使うとどうなるか見てみましょう。

母 :「タカシ、そろそろ8時ね。」
タカシ:「(ゲームしながら)・・・うん。」
母 :「先に宿題やっちゃった方がいいかな、と思うんだけど、どうだろう?」
タカシ:「・・・そうだね。」
母:「じゃあ、先に数学の宿題やる?それとも国語から?」
タカシ:「んーっと、じゃあ、今日は数学からやろうかな」

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「選択の自由メソッド」のコツ

最初に「先に宿題やっちゃった方がいいかな、と思うんだけど、どうだろう?」と「サジェスチョン・メソッド」を使っています。そしてその後で、「先に数学の宿題やる?それとも国語から?」と選択肢を示しています。
この「相手に選択肢を示す」というのが「選択の自由メソッド」です。選択肢を示すことで本人 の中で「何をやるのか」が具体的になり、行動を起こしやすくなります。「数学からやっちゃった方がいいわよ」などと自分の意見を言ってしまうのは避けましょう。あくまで「子供が自分で 選んだ」「自分の意志で決めた」という状況を作ってあげるのが大切です。大人は「自分の意志で決めるのをサポートしてあげる」という立場に徹します。

ひとつ注意したいのは、相手が「んーっと」と考えているときに焦って口を挟まないようにする ことです。我慢強く答えを待つことが大切。しびれをきらしてこちらの意見を先に行ってしまうとせっかくのこのメソッドが台無しになってしまいます。お母さんは洗濯とか台所の片付けとか、いろいろとやることがあるので、早く物事を前に進めたい気持ちが前に出てしまうこともあるかもしれません。でも、それをグッとこらえていつもよりもゆっくりとした口調で話しかけるようにしてみましょう。すると、相手の答えが出るまでに間があっても、比較的我慢強く待つことが しやすくなります。

中学高校と進むにつれて、子供は親から自立したいという気持ちが起こってきます。もっと小さかったときはいろいろと親が決めても子供はそれほど違和感を持たないこともあるでしょう。しかし思春期を過ぎると状況はちょっと変わってきます。「自立したい」「自分で決めたい」という気持ちを最大限に尊重し、でも「自分一人ではできない」「自分だけでは決められない」という部分に関してはサポートしてあげる。そういうスタンスを持つと、比較的うまく行きます。

ぜひ試してみてください。